3月下旬の冬から春に移り変わる変化の時期、みなさまいかがお過ごしですか。
日照時間が日に日に長くなり、冬の寒く暗い朝と夕方から解放され、春の陽気な気候が目前となってきました。
今週末、2020年3月29日(日)にはイギリスが冬時間(Greenwich Mean Time/GMT)から夏時間(British Summer Time/BST)に切り替わり、日本との時差は冬時間の9時間から夏時間の8時間になります。
イギリスでは毎年、夏時間に切り替わった頃から春らしくなる、季節の変化を実感できるようになります。
2020年2月20日にポリマー製の新£20紙幣が発行されました。
イギリスは従来より新紙幣が発行された際は6ヶ月の移行期間を経て旧紙幣が利用できなくなりますが、£20紙幣に関しては2020年3月26日現在、新旧紙幣が混在し、旧紙幣も引き続き利用できます。
旧£20紙幣が利用できなくなる決定がされた場合は、6ヶ月間の移行期間が定められますので、現在旧£20紙幣をお持ちの方は急いで使い切らなくても安心です。
新旧の紙幣が混在して流通しているためか、前回£5紙幣や£10紙幣が新紙幣に切り替わった際よりも新£20紙幣の流通が遅かった印象を受けます。
旧紙幣は市中銀行や郵便局のカウンターで新紙幣に交換できます。
ロンドン中心地City of London(シティー オブ ロンドン)はThreadneedle Streetにある中央銀行Bank of England(バンク オブ イングランド)のカウンターでの交換、または郵送での交換も受け付けられていますが、イギリスの運転免許証等による住所証明が必要となるため、多くの留学生には向いていません。
イギリスは紙幣が切り替わり移行期間を過ぎると、日本のように旧紙幣を現行紙幣と同様に利用できないので注意しましょう。
旧紙幣を記念に取っておく方も多いかと思います。
イギリスの通貨Pound sterling(スターリング ポンド)(£ / GBP)をイギリス留学の思い出とするのもいいですね。
留学生は紙幣やコインをお土産とすることもできます。
2007年に発行された旧紙幣はコットン製でしたが、新紙幣はポリマー製に切り替わりました。
ツヤのあるプラスチックのような質感の紙幣で、透明の透かしや識別しやすい凹凸、最新の偽造防止措置が盛り込まれた、イギリスの最新技術が満載の新紙幣です。
従来のコットン製より寿命が長いと言われており、環境への配慮もより重視されています。
新£20紙幣の表面には他紙幣同様、Queen Elizabeth II(エリザベス2世)が肖像として使われています。
裏面の肖像にはイギリスを代表するロマン主義の画家、Joseph Mallord William Turner(ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー)が選ばれました。
フルネームが長いため、省略した形のJ. M. W. TurnerやWilliam Turnerと表記されることが多い、イギリス国民に非常に親しまれている画家です。
Turnerは1755年にロンドン中心地コヴェント・ガーデン(Covent Garden)に生まれ、Royal Academy of Arts(ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ/王立芸術院)の附属美術学校で学び、功績を認められ弱冠26歳でロイヤル・アカデミーの正会員となります。
初期のTurnerの作品は写実的でしたが、後の印象派の先駆けとなるロマン主義の画家として数多くの作品を世に残しました。
約550の油絵、2,000の水彩画、30,000のスケッチとデッサンが残されています。
1799年に描かれたTurnerの自画像画とともに、1838年の著名な絵画「The Fighting Temeraire」が紙幣裏面に描かれています。
Turnerが1818年の講義で発した”Light is therefore colour”はあまりにも有名で、デザインの一部として盛り込まれています。
Light is therefore colour, and shadow the privation of it by the Removal of these rays of colour or subduction of power and throughout nature these rays are to be found in the ruling principles of diurnal variations, the gray dawn, the yellow morning, golden sun rise and red departing ray in ever changing combination; these are the pure combinations of Aerial colour.
J.M.W. Turner, Academy lecture 1818
Turnerはほとんどの作品に自身の署名を残さなかったため、紙幣裏面の署名は彼の遺言から取られました。
これは彼の遺言により作品がイギリスに遺贈されたため、そのイギリス社会への偉大な功績を称えたことに由来します。
新£20紙幣の発行により、イギリス国内で流通している紙幣は最高額紙幣の£50紙幣を除き、全てポリマー製に切り替わりました。
現在コットン製の£50紙幣は2011年に発行されました。
来年2021年にはイギリスの数学者、Alan Turing(アラン・チューリング)が裏面の肖像画として採用されたポリマー製の新紙幣が発行される予定です。
現在流通している紙幣裏面の肖像画は以下の通りです。
- ポリマー製£5紙幣 Sir Winston Churchill(ウィンストン・チャーチル)
- ポリマー製£10紙幣 Jane Austin(ジェーン・オースティン)
- コットン製£20紙幣 Adam Smith(アダム・スミス)
- ポリマー製£20紙幣 J. M. W. Turner(J. M. W. ターナー)
- コットン製£50紙幣 Matthew Boulton(マシュー・ボールトン)とJames Watt(ジェームズ・ワット)
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